current 〜介護のリアルが見えてくる〜
全国1000人アンケート調査実施

第2回 約8割は親と介護の話をしていない!?

介護の今 2024.10.09更新

「介護する」「介護される」
2つの視点から「リアルな意識」を探る

2024年7月29日・30日、SOMPOケアは全国の30代〜60代の男女各500人、合計1000人を対象に「“未来の介護”に関する調査」を実施。その結果と分析をご紹介するシリーズ、第2回目となる今回は、実施された調査のうち、Q.1〜Q.5をクローズアップ。Q.1〜Q.3では「親を介護する側」、Q.4〜Q.5では「自分が介護される側」の視点でのアンケート結果を紹介しながら、介護に対する「リアルな意識」に迫っていきます。

INDEX

  • ・約8割は親と介護の話をしていないことが明らかに

  • ・6割以上が介護の方針を決めていない

  • ・金銭面、生活への影響、体力面……8割以上が親の介護に不安を抱える

  • ・自分が「介護される側」になったら……あなたは何を望みますか?

  • ・介護はある日、突然に始まるかもしれないから

約8割は親と介護の話を
していないことが明らかに

はじめの質問は「Q.1 両親(義父母を含む)の介護について話し合ったことはありますか」。なお、「話し合った相手」「話し合ったタイミング」も含めてご回答いただきました。

結果は平均しておよそ8割が「話し合っていない」と回答。また、性別・年代・タイミング別に見ると「介護が始まる前」に話し合ったことがあるのは60代女性が20.8%で最大。また、「介護がはじまってから」では60代男性が25.6%で最大に。介護に対して60代を超えた女性は介護が始まる前から備え始める傾向が垣間見えつつも、全体で見るとやはり大多数が「介護について親や家族と話し合えていない」という実状があるようです。

6割以上が介護の方針を
決めていない

続いての質問は「Q.2 両親(義父母を含む)に介護が必要になった場合はどうする予定ですか」。「介護施設(老人ホームなど)を利用する」「自宅で介護サービスを利用して介護をする」「自宅で介護サービスを利用せずに介護する」「その他(自由記述)」「まだ決めていない・分からない」の5つの中から選ぶ選択式での質問に対する回答は以下のようになりました。

約2割となった「介護施設(老人ホームなど)を利用する」という回答の理由としては、介護を受ける親の希望、仕事や生活との兼ね合い、プロに任せることへの安心感などが挙げられます。

6割以上が「まだ決めていない・分からない」、次いで約3割が何らかの介護サービスを利用することを検討していると回答。この設問ではさらに、回答の理由も聞いています。主なコメントをまとめて見ていきましょう。

大多数を占めた「まだ決めていない・分からない」という回答の主な理由からは、介護に実感が持てていないこと、センシティブで話題にしにくいこと、費用面の不安や情報不足といった状況がうかがえます。年代別に見ていくと、60代のみ約40%で半数を割ったものの、30代〜50代で過半数を占める結果に。

 

介護が身近な年代になるまで、そもそもどんな手続きや費用が必要で、どんな制度が利用できるのかといったことを調べるきっかけが持てず、具体的な方針を立てるまでに至っていない人が多いようです。

次いで約1割となった「自宅で介護サービスを利用して介護をする」については、働き盛りの30代、40代では極端に割合が低く、50代〜60代が大部分を占める結果に。「介護施設(老人ホームなど)を利用する」と同様、プロの手を借りたいと考える人がいる一方で、介護する側も受ける側も、年齢を重ねるほど家族の絆や安心感、これまでと変わらない日常を求めていることもわかりました。

また、年代別では60代に入ると明確に介護施設の利用を希望する声が目に見えて多くなる傾向が見られました。いずれにしても介護施設など介護サービスの利用という選択肢は一定数の支持を得ていると言えそうです。

金銭面、生活への影響、体力面……
8割以上が親の介護に不安を抱える

ここまでの調査結果から、多くの方が「介護についてまだ家族とも話し合えておらず、具体的な計画が立てられていない」状況にあることが見えてきました。そこで、まずは介護に備えるために、最初の一歩を踏み出す前にある課題を探るべく、「Q.3 両親(義父母を含む)の介護に対して不安に思うことは何ですか」という質問についてご紹介していきます。

結果を見ていくと、前提として「不安に思うことはない」と答えたのはわずか16.7%。つまりは、全体の8割以上が親の介護に対して何らかの不安を抱えていることがわかります。その「不安」の内訳を見ていくと、「金銭面」が6割以上を占め、「自分の生活に影響が出る」、「自分の体力面」が続きました。

 

これだけ不安要素がありながらも、親や家族と話し合えず、介護の方針を決めることができていない実状に矛盾を感じる方もいるかも知れません。しかし、家族の介護は非常にセンシティブな話題。話を切り出しにくいと感じている人も多いようです。

 

また、お身体の状態によって必要な介護は変わってくるため、まだ家族が要介護になっていない段階では、具体的な情報を集めて備えることは難しいはずです。介護に対する不安を少しでも軽くするためには、早い段階から介護サービスの種類や費用などを調べ、「どんなサービスが使えそうか?」「自分の家族にはどんな介護が合っているのか?」を把握しておくことが大切なのではないでしょうか。

自分が「介護される側」になったら……
あなたは何を望みますか?

Q.1〜Q.3までは「親を介護する側」の視点での質問でしたが、ここからは「自分が介護される側」になったとき、何を望むのか?について探っていきます。

 

まずは「Q.4 自身が介護されることになった場合、誰に介護をされたいですか」という質問からご紹介していきましょう。

結果は「介護士・ヘルパー等の専門家」が6割超えの大多数となり、「配偶者・パートナー」「自分の子ども」と家族が続く結果に。

 

ここで注目したいのは「その他」と答えた人たちの回答理由の中に「わからない」「決められない」が多数あったこと。まだ介護を受ける状態にない人たちにとって「自分事にできていない」「リアリティを持ちにくい」という実状があるようです。

 

また、性年代別で見ていくと、年代の高い男性ほど配偶者・パートナーを頼りにしているという傾向がありました。

続けて「Q5 自身に介護が必要になった場合はどうしたいですか」という質問に対する回答がこちら。「まだ決めていない・分からない」が過半数を占め、「親を介護する側」の視点で投げかけられた「Q.2 両親(義父母を含む)に介護が必要になった場合はどうする予定ですか」とほぼ重なるような結果になりました。

「親を介護する側」「自分が介護される側」と視点は違いますが、介護に対する距離感やリアリティが共通した大きな課題であると言えそうです。

介護はある日、突然に
始まるかもしれないから

今回の記事では「親を介護する側」「自分が介護される側」、2つの視点から行われたアンケート調査の結果と分析をご紹介してきました。全体を通して見えてきたことは、年代や性別で多少の違いはありつつも、全体として「介護はまだ遠い」というイメージがあること。そして、その「遠さ」の中にも不安は確かにあり、その不安がクリアにできていないまま、親や家族と話し合えていない……という状況にある人が多いということでした。

 

転倒による骨折、ご病気の悪化、交通事故など、介護はある日、突然始まる場合があります。そのときになってから情報を集め、家族で対策を話し合うことはとても大変なことです。支える家族はもちろん、介護を受ける必要があるご本人の意思を尊重する必要があるのに、お身体の状態によっては話し合うことすら困難になる可能性もあります。

 

だからこそ前もって「必要な情報は何か」「自分の親や家族はどう考えているのか」「自分はどうしたいのか」といったことを整理して、話し合う時間を持てれば、介護に対する不安は軽くなるでしょう。

 

次回は「介護とテクノロジー」をテーマにしたアンケート結果と分析を通じて、介護のこれからに対するイメージや期待感についてご紹介していきます。

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